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動物別症例集 8ページ目

鳥の趾瘤症(バンブルフット)

細過ぎまたは太過ぎなどの止まり木による偏った足底への負担や肥満、床が硬いなどが主な原因で起こる病気を趾瘤症といいます。すべての鳥類でみられ、生活環境の改善がないと、細菌感染を起こして痛みにより立てなくなってしまいます。

生活環境などの根本的な改善が必要ですが、細菌感染や疼痛などには抗生物質や鎮痛剤などの治療法があります。

インコの腹壁ヘルニア

腹部の筋肉が伸びたり裂けたりしてヘルニア輪から臓器が飛び出た状態を腹壁ヘルニアといいます。セキセイインコの雌がほとんどでオカメインコなどにもみられ、慢性的な発情や産卵が原因となります。腸や卵管が脱出すると、腸閉塞や卵塞の原因となりますが、症状がでないこともあります。外科手術で開いた穴をふさぐ治療が必要になります。

インコの嘴過長症

嘴形成不全は、嘴の過長、脆弱化、横または縦のストレスライン、変色や出血班などがみられるものをいいます。多くは肝機能障害や高脂血症によって起こります。PBFDでは特に上嘴が過長し、脆弱化します。

嘴の過長は、肝不全や、アミノ酸欠乏、PBFD、疥癬などによる成長板細胞の異常により、嘴のタンパクの合成異常が生じ、上嘴が過伸長します。鳥が診れる病院で、嘴のトリミングをしてもらい、基礎疾患を治療していきましょう。

インコの肝疾患

飼育環境が発情しやすい状態であると鳥は持続発情状態となり、エストロジェンが持続的に分泌され、高エストロジェン血症を起こします。そして常に肝臓から血液中へ蛋白質が放出されることにより肝臓が疲労し、肝機能障害が起こってきます。

診断はレントゲンで肝臓の大きさや形状の評価を行います。高エストロジェン血症によって骨に過剰にカルシウム沈着を起こした状態を多骨性過骨症と言います。

治療は、飼育環境の改善や薬物による発情抑制と、肝臓薬の内服が必要です。

セキセイインコのマクロラブダス症(メガバクテリア症)

多くの鳥類が胃に保有しているカビの一種です。しかし、感染していても必ず発症するものではありません。

症状は削痩・食欲不振・嘔吐・下痢・黒色便などの消化器症状が見られます。重症例では吐血を起こすことがあります。糞便検査によってマクロラブダスを検出します。治療はメガバクテリアを排除するための抗真菌剤と消化器症状に対しての対症療法をします。

健康チェック(体重測定、糞便検査)で早期に発見しましょう。

セキセイインコのそ嚢食滞

消化管の運動機能が低下するため、そ嚢内に食べ物や液体が溜まる病気です。ヒナに起こりやすく、食欲不振、呼吸困難、寝てばかりいるなどの症状がでます。原因は、不適切な餌の給餌、環境不良、感染症などです。

治療としては、器具を使って除去したり、胃腸の運動機能を改善する薬を用います。感染があれば、抗生物質や抗真菌剤を使います。

セキセイインコの痛風

タンパク質の過剰摂取や腎不全などが原因で、尿酸がたくさん血液中にたまり、産生された尿酸結晶の刺激によって起きる病気を痛風といい、間接型と内蔵型に分かれます。また、オカメインコやコザクラインコでも少数見られます。

予防策は腎臓を保護することで、適度な保温、新鮮な水を十分与える、タンパク質の多い ごはんを避けてビタミンを多く含む野菜を与えるようにします。治療は、痛みを和らげ症状の進行を止めるような治療をしていき、痛風治療薬の経口投与とビタミン、ミネラルの投与を行います。

セキセイインコの疥癬

疥癬症は鳥のくちばしや目の周辺の皮膚にカサブタのようなものができ、とても痒がります。特にセキセイインコに発症しやすいです。トリヒゼンダニ(寄生虫)による感染が原因で、痒いので鳥かごにこすりつけます。

治療法:週に1度の注射を約4~5回やります。

ボタンインコのキサントーマ(黄色腫)

キサントーマはオレンジ色の腫瘤として発見されます。原因は持続発情による高脂血症が関連し、外的刺激が加わることで発生します。翼端部のキサントーマでは、重量の増加で飛べなくなり、自咬も多いです。

治療は高脂血症の改善と発情抑制の内科治療を行いますが、効果がない場合には外科摘出を選択します。

文鳥の卵塞症(卵詰まり)

卵詰まりは、寒冷や環境変化のストレス、高齢、低カルシウム血症、産道弛緩不全、卵管口閉塞、骨格異常、腹壁ヘルニアなど様々な原因で起こります。

症状は、元気・食欲の低下、膨羽、腹部膨満、排便障害、血液の付着した糞便などがみられますが、すぐに症状を示さない場合もあります。

診断は、他の腹部の疾患との鑑別や併発疾患を確認するためにもレントゲン検査が必要です。

治療法は、指で卵を押して強制的に排出させる卵圧迫排出処置があります。

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