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動物別症例集 6ページ目

デグーの不整咬合(不正咬合)

デグーの歯は切歯(前歯)・臼歯(奥歯)ともに一生伸び続け、硬いものをかじったりすり潰すことで削られていきます。
歯をこすり合せることが不足したり、ケージを齧ったりして、かみ合せが悪くなった状態を不整咬合(不正咬合)と言います。

特に臼歯の不整咬合では一部分のみが削れて棘状縁という尖った部分ができ、それによる刺激で舌や頬の内側に潰瘍を形成することがあります。見た目に分かりづらく、症状がひどくなってから来院されるケースも珍しくありません。

症状は主に食欲不振と流涎(よだれ)です。牧草等の硬いものが食べられなくなることが特徴です。
そのほかに体重減少、くしゃみ、目やになどがみられることもあります。

一度不整咬合となったデグーは定期的な歯削りが必要になります。
不整咬合が軽度の子は無麻酔でも歯削りが行えますが、全身麻酔下での処置が必要な場合もあります。

不整咬合は予防が重要です。チモシー一番刈りのような繊維を多く含む牧草をたくさん食べてもらい、ケージ齧りを防止するために齧り木を用意しましょう。

デグーの妊娠

デグーのメスは4歳くらいまで繁殖でき、生後6ヶ月で性成熟を迎えます。相性が合えばオスとメスを同じ場所で飼育すると自然に交尾が行われ、受精するようになります。平均3~6匹出産し、妊娠期間は約90日ほどです。妊娠診断はレントゲン・エコーなどで行います。また、洋梨体型・胎動・急激な体重増加などの見た目で判断する場合もあります。

デグーの子宮平滑筋肉腫

子宮の平滑筋肉腫は子宮の筋層にある平滑筋から発生し、子宮、腸、胃、全ての血管の壁、皮膚を含む身体のほとんどの部分で見られます。治療は抗がん剤治療や放射線治療が主ですが、効果があまりみられないことも多いです。デグーは子宮に発生した平滑筋肉腫はほとんど例が無く、腫瘍発生率の低い動物種と考えられています。

デグーの尻尾切れ

デグーはシマリスと同様に尾をつかんだりひっぱったり踏んだりすると尻尾が切れやすい動物で、尻尾の中の筋肉や骨がむき出しになってしまいます。

抗生物質の治療をして、感染を防ぎます。その後1~2週間程度で乾燥して自然に取れることが多いのですが、自分で齧ってしまって出血が止まらなかったり感染して膿んでしまった場合は断尾の手術が必要な場合があります。

デグーのペニス脱

デグーでは、外傷・尿路系疾患や発情期が原因でペニスが脱出したままになることがあります。この状態を放置しておくと表面が乾燥してしまったり、自分でかじったり舐めてしまったりすると元に戻らなくなってしまうこともあります。最悪尿が出なくなり、亡くなってしまうこともあります。抗生剤や消炎剤などで治療し脱出したペニスを元に戻しますが、乾燥して壊死した部分やかじってしまった部分は外科的に切除したり包皮を縫合したりすることがあります。

フクロモモンガの自咬症

何らかのストレスが原因で自分の体を自分で傷つけてしまうことを自咬症といいます。特に性成熟を迎えたオスはしっぽを咬みちぎってしまうことがよくあります。損傷部位の治療として断尾をしてエリザベスカラーの装着をしますが、同時に去勢手術をすることが推奨されています。写真は噛みちぎったしっぽの根元を断尾して縫合したものです。

フクロモモンガの去勢

本来フクロモモンガは集団生活をしているので、単独飼育されているとストレスで自咬症がよく見られます。特にオスで頻発し、四肢や生殖器を傷つけてしまいます。自咬症の解決策のひとつは去勢手術であるとの報告があります。もちろん、繁殖をさせない目的での去勢手術も行います。

フクロモモンガの裂傷

フクロモモンガは俊敏性に優れ行動範囲が広いため、狭いケージのなかではとくに体をぶつけたり落下したりしやすくなっています。また複数飼育の場合でも相性が悪いと喧嘩などで傷になってしまうことがあります。そしてフクロモモンガは自咬症が多い動物なので、その傷がさらに拡がってしまう可能性があります。小さな傷でも病院での消毒・抗生剤による治療が必要です。大きな傷は全身麻酔による縫合が必要となります。

フクロモモンガの陰茎切除

フクロモモンガは本来集団で行動する動物です。しかしペットとして飼われる場合は単独飼育が多く、ストレスが原因で自分の体を自分で傷つけてしまうことがあり、これを自咬症と言います。

自分のペニスを咬んでしまうことがよくあり、陰茎が完全に中に戻らなくなってしまいます。陰茎切除は麻酔下で行い、フクロモモンガ特有の2本の陰茎を、分かれる根元を残すかたちで切除します。カラーを装着して再び自咬しないようにします。

フクロモモンガのアポクリン腺癌

一般的に高齢の犬にできる腫瘍であるアポクリン腺癌は、便が出にくい・多飲多尿・肛門周りが腫れるなどの症状や、腰下リンパ節に転移しやすいのが特徴です。フクロモモンガの育児嚢にみられる腫瘍は極めて稀で、腫瘍自体の報告も少ないです。犬に見られるアポクリン腺癌と同様、外科摘出しても再発・転移しやすい腫瘍と考えられ、育児嚢に発生したアポクリン腺癌は乳腺由来の腺癌と考えられます。

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