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動物別症例集 13ページ目

犬のマダニ寄生

写真のチワワちゃんの目の周りについているイボのようなものすべてが2枚目の写真にある吸血したマダニたちです。

このようにマダニ予防をしていない状態でワンちゃんと一緒にハイキングやキャンプなどに行くと顔回りや胸部、おしり周りなどにマダニが寄生している可能性があります。

マダニに咬まれると、犬は皮膚炎や貧血、栄養障害などの病害を引き起こすのみならず、マダニが病原体の運び屋となって、場合によっては感染症により、命に関わる危険性もあります。

また動物に寄生したマダニは人にも移る場合があり、ペットからのマダニ媒介によりウィルス感染して死亡したという報告(SFTS:重症熱性血小板減少症候群)もありますのでしっかりとしたノミ、マダニ予防の徹底を行いましょう。

寄生したマダニは、セメントのような物質で固定しているため、引っ張ってもなかなか取れません。無理に取れば、口器だけ皮膚内に残り炎症や化膿などの原因となります。そのため、マダニを取り除くときは動物病院で口器を皮膚内に残さないように専用のピンセットによる除去や、薬剤を使用して取り除くことをお勧めします。

犬の子宮蓄膿症

子宮蓄膿症とは、子宮が細菌感染を起こし、内部に膿がたまる病気です。

中年齢以上の犬に特に多く、未避妊のメスの2/3がなると言われています。

症状としては「元気・食欲の低下」「水をよく飲む」といったものが多く、急にぐったりして来院されるというケースも珍しくありません。陰部から膿状のオリモノが排泄されるタイプもありますが、排泄されないタイプもあるので、それだけで判別はできません。

最悪の場合子宮が破裂してしまったり、細菌や毒素が全身に回って死に至ります。

治療は、緊急手術で膿の溜まった子宮を取り除くことになります。
手術が上手くいけば完治する病気ですが、何らかの症状を示している場合は麻酔のリスクが高くなります。
このため、発症前の健康な時に、予防的な避妊手術が勧められます。

犬の乳腺腫瘍

高齢のメスの犬には乳腺腫瘍がみられることがあります。
乳頭の周囲の皮膚の下に硬いしこりができ、それが徐々に大きくなっていくのが特徴です。
良性のものを乳腺腺腫、悪性のものを乳腺腺癌(乳腺癌)といい、犬ではその比率は1:1と言われています。

良性の乳腺腺腫であれば健康上影響がない場合もありますが、乳腺腺癌(乳腺癌)は全身に転移し、最終的に死に至ります。

診断は細胞診、または病理組織検査になります。
細胞診は注射の針を腫瘍に刺して細胞を取ってくる検査で、簡便ですが精度はあまりよくありません。
病理組織検査は全身麻酔で腫瘍を塊ごと摘出し、専門の機関に依頼して、腫瘍細胞の悪性度や分布をみる検査になります。

悪性であれば命に関わるため、乳腺腫瘍が見つかった段階で早期の手術と病理組織検査をお勧めすることがほとんどです。

悪性であっても、早期発見により完全に切除できれば完治する腫瘍です。
しかし発見が遅れて全身への転移が認められた場合、治療は困難です。
外科手術で完全切除が出来なかった場合や転移が認められた場合に、化学療法(抗癌剤)を検討することもありますが、完治させるには至りません。
また稀なケースで、炎症性乳癌という手術が出来ないタイプの乳癌もあるので、注意が必要です。

できてしまうと大変な乳腺腫瘍ですが、発生率(良性・悪性とも)を早期の避妊手術によって激減させることができます。
避妊手術までの間に発情を経験させる回数により、0回で0.05%、1回で1%、2回で24%まで抑えられることがわかっています。それ以上発情を経験してしまうと、予防効果は期待できないと報告されていますので、避妊手術を考える場合には、なるべく早期の手術が推奨されています。

犬の門脈体循環シャント

門脈体循環シャントとは、腸や全身臓器から肝臓へと血液を送る血管である「門脈」と全身への体循環を担う大静脈との間に本来無い異常血管(シャント血管)ができることで様々な障害を引き起こす病気です。
先天性がほとんどですが重度の肝臓病があると後天的に発生することもあります。

症状は元気や食欲の低下・嘔吐・下痢などで、重症だと肝性脳症といわれる神経症状(けいれん発作、ふらつきなど)や、最悪の場合死に至ることもあります。
合併症として尿酸アンモニウム結晶による尿路結石などがあります。

血液検査、レントゲン、エコー検査などにより診断され、CT検査が必要な場合もあります。

症状が軽度の場合は内服薬や食事療法で抑えられることもありますが、一般的には外科手術が行われます。セロハン結紮術やアメロイドコンストリクター設置術などで異常血管を結紮、閉塞します。

犬の鼠径ヘルニア

お腹の中の内容物(臓器や脂肪など)が両足の付け根(鼠径部)にある隙間から飛び出てしまった状態を鼠径ヘルニアと言います。事故などによる外傷などで後天的に起こる場合と、遺伝などの先天的に起こる場合があります。ヘルニアが小さければ経過観察を行う場合もありますが、臓器(腸や膀胱など)がヘルニア内に出ている場合や、ヘルニア部分が拡大してる場合は外科手術が必要となります。

犬の胃捻転胃拡張症候群

胃がねじれて拡張してしまう急性の病気のことを胃捻転胃拡張症候群と言います。最悪の場合、死に至ることもあります。食後の激しい運動・多量の食事を一気に食べる・遺伝的要因などが原因で、どの犬種でも起こる可能性はありますが、一般的には胸の深い大型犬で起こりやすいです。症状としては落ち着きがなくなる・お腹が張る・よだれ・吐く仕草などが初期でみられ、立てなくなったり、ショック症状がみられる末期では死亡率が高いので注意が必要です。治療法は、手術による捻転の修復と固定術が必要になる事が多いです。

犬の第三眼瞼突出

第三眼瞼突出はチェリーアイとも呼ばれ、第三眼瞼(または瞬膜)の裏側にある腺が炎症を起こし、赤く腫れた状態のことをいいます。遺伝性・外傷性・腫瘍性など原因は様々ですがそのままにしておくと結膜炎や角膜炎になってしまいます。軽度であれば点眼薬で治療しますが、突出が重度だったり慢性化したりすると手術が必要になります。写真はポケット法というやり方です。

犬の踵骨骨折

かかとの骨が折れることを踵骨骨折といい、骨折の頻度としてはそこまで高くないのですが、アキレス腱が付いている非常に大事な骨でもあります。一般的にピンとワイヤーを使う外科手術が必要となります。

犬の臍ヘルニア

へそにあたる部分が膨らむことでいわゆる出べその状態となり、へその穴からお腹の中の臓器が皮下に飛び出してしまうものを臍ヘルニアといいます。脂肪だけ の軽症のもの(膨らみが小さく軽く押したらお腹の中に戻ってしまう)は様子を見るだけで平気なものもありますが、腸が飛び出してしまってる場合押しても戻 らないことが多く、腹痛や便秘などの症状が出てるときは腸閉塞などの緊急処置になる前に早めに穴を塞ぐ手術をしましょう。

犬の皮膚生検

皮膚病の原因がはっきりしない、治療に対して反応があまり見られない、または免疫介在性や腫瘍の病気を疑う場合などに皮膚生検を行う場合があります。


通常はパンチ生検などで局所麻酔にて皮膚の一部を切り取って病理検査を行いますが、性格や部位などにより全身麻酔が必要になることがあります。

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