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動物別症例集 12ページ目

猫の横隔膜ヘルニア

胸腔(心臓や肺が入っているところ)と腹腔(肝臓や腎臓や腸などが入っているところ)とを区切っている横隔膜というところが何らかの原因で裂けて、腹腔の 臓器が胸腔内に入り込んでしまう病気を横隔膜ヘルニアといいます。症状としては呼吸が苦しい、じっとしていて動かない、嘔吐、下痢といった症状を起こすこ とがあり、先天性や交通事故などの外傷が主な原因です。

治療としては、交通事故などの外傷性の場合は、身体の状態を安定させた後外科的に整復します。先天 性で無症状の場合は経過観察とし、何か症状が出た場合は外科的整復が一般的ではありますが、先天的な場合横隔膜自体が存在しないことが多いので、手術をす ることが出来ない、整復してもすっかり元に戻すことが出来ない場合があります。

猫の会陰尿道廔

尿道炎や尿石症など何らかの原因で尿道が閉塞すると排尿困難になり、この状態が24時 間続くと命に関わることになります。特に雄猫に好発し、尿道にカテーテルを入れて閉塞を解除し、内科的治療や食餌療法などで症状は改善しますが、再発を繰 り返す場合には外科手術が適応になります。

狭い陰茎尿道部分を切り取り、比較的広い骨盤尿道から直接排尿できるように尿路を作り替えてしまう会陰尿道瘻術 という手術です。術後に尿道開口部が感染しやすいために適切な管理が必要となります。

猫の皮膚糸状菌症(真菌性皮膚炎)

皮膚糸状菌(ひふしじょうきん)の感染を原因とする感染症で、表皮の角質層、 被毛、爪において増殖する病気を皮膚糸状菌症といいます。環境(土壌)からまたは他の猫との接触により感染し、子猫、老齢猫あるいは何らかの疾患を持ち免 疫機能が十分でない猫で発症しやすくなります。症状は、顔、耳、四肢の一部分などにフケやかさぶたが見られるようになり、円形などの脱毛ができます。

また 脱毛部分を掻く動作なども見られるようになります。治療には、抗真菌薬の内服やローションや軟膏などの塗布が行われ、抗真菌薬の入ったシャンプーで薬浴を 行うこともあります。

猫(スコティッシュ)の骨関節症

猫の骨関節症は、動作時に困難と痛みを伴う変形性の関節疾患です。主に中年期 から高齢期に見られますが、若年層でも発症することがあります。スコティッシュホールドは遺伝的に発症することが知られています。

変形性骨関節症は完治す る病気ではありませんが、体重制限・適度な運動・内科的治療(鎮痛消炎剤など)などで症状を緩和できる場合があります。

猫の子宮蓄膿症

子宮蓄膿症は、「開放性」と「閉塞性」に分けられます。開放性では膿が外陰部から排泄され、気付くことが多いですが、閉塞性では気付きにくく重症化します。

治療は、卵巣・子宮全摘手術です。ショック状態にある場合には、状態を安定させるために点滴や抗生剤の投与を行います。
若いうちに避妊手術を行えば、子宮蓄膿症だけでなく乳腺癌の発症を予防することができます。

猫の縦隔型リンパ腫

猫白血病ウイルス(FeLV)の感染が関与し、FeLV陽性の若齢の猫に発症することが多いと言われています。
元気消失、食欲・体重の低下、嘔吐、下痢が見られます。胸水が溜まると咳、呼吸困難、チアノーゼなどの呼吸
器症状が見られます。

治療は抗癌剤を用いた化学療法が行われます。胸水が溜まって呼吸困難の場合は、胸水を抜去します。
予防としては、発症に関与するFeLVに感染しないようにワクチン接種を行い、室内飼いにして、感染の可能性を
できるだけ減らすことが重要です。

猫の下部尿路疾患(FLUTD)

猫の泌尿器系の疾患のことを猫下部尿路疾患(FLUTD)といい、膀胱炎や膀胱や尿道の尿石症、尿道炎などのことをさします。

治療:症状によって様々ですが、尿道結石などで尿道が閉鎖されている場合には緊急の処置となります。尿道の通りを良くするためにカテーテルを用いて洗浄をおこないます。閉鎖されて時間がたっているばあいには点滴治療もおこないます。

犬のマダニ寄生

写真のチワワちゃんの目の周りについているイボのようなものすべてが2枚目の写真にある吸血したマダニたちです。

このようにマダニ予防をしていない状態でワンちゃんと一緒にハイキングやキャンプなどに行くと顔回りや胸部、おしり周りなどにマダニが寄生している可能性があります。

マダニに咬まれると、犬は皮膚炎や貧血、栄養障害などの病害を引き起こすのみならず、マダニが病原体の運び屋となって、場合によっては感染症により、命に関わる危険性もあります。

また動物に寄生したマダニは人にも移る場合があり、ペットからのマダニ媒介によりウィルス感染して死亡したという報告(SFTS:重症熱性血小板減少症候群)もありますのでしっかりとしたノミ、マダニ予防の徹底を行いましょう。

寄生したマダニは、セメントのような物質で固定しているため、引っ張ってもなかなか取れません。無理に取れば、口器だけ皮膚内に残り炎症や化膿などの原因となります。そのため、マダニを取り除くときは動物病院で口器を皮膚内に残さないように専用のピンセットによる除去や、薬剤を使用して取り除くことをお勧めします。

犬の子宮蓄膿症

子宮蓄膿症とは、子宮が細菌感染を起こし、内部に膿がたまる病気です。

中年齢以上の犬に特に多く、未避妊のメスの2/3がなると言われています。

症状としては「元気・食欲の低下」「水をよく飲む」といったものが多く、急にぐったりして来院されるというケースも珍しくありません。陰部から膿状のオリモノが排泄されるタイプもありますが、排泄されないタイプもあるので、それだけで判別はできません。

最悪の場合子宮が破裂してしまったり、細菌や毒素が全身に回って死に至ります。

治療は、緊急手術で膿の溜まった子宮を取り除くことになります。
手術が上手くいけば完治する病気ですが、何らかの症状を示している場合は麻酔のリスクが高くなります。
このため、発症前の健康な時に、予防的な避妊手術が勧められます。

犬の乳腺腫瘍

高齢のメスの犬には乳腺腫瘍がみられることがあります。
乳頭の周囲の皮膚の下に硬いしこりができ、それが徐々に大きくなっていくのが特徴です。
良性のものを乳腺腺腫、悪性のものを乳腺腺癌(乳腺癌)といい、犬ではその比率は1:1と言われています。

良性の乳腺腺腫であれば健康上影響がない場合もありますが、乳腺腺癌(乳腺癌)は全身に転移し、最終的に死に至ります。

診断は細胞診、または病理組織検査になります。
細胞診は注射の針を腫瘍に刺して細胞を取ってくる検査で、簡便ですが精度はあまりよくありません。
病理組織検査は全身麻酔で腫瘍を塊ごと摘出し、専門の機関に依頼して、腫瘍細胞の悪性度や分布をみる検査になります。

悪性であれば命に関わるため、乳腺腫瘍が見つかった段階で早期の手術と病理組織検査をお勧めすることがほとんどです。

悪性であっても、早期発見により完全に切除できれば完治する腫瘍です。
しかし発見が遅れて全身への転移が認められた場合、治療は困難です。
外科手術で完全切除が出来なかった場合や転移が認められた場合に、化学療法(抗癌剤)を検討することもありますが、完治させるには至りません。
また稀なケースで、炎症性乳癌という手術が出来ないタイプの乳癌もあるので、注意が必要です。

できてしまうと大変な乳腺腫瘍ですが、発生率(良性・悪性とも)を早期の避妊手術によって激減させることができます。
避妊手術までの間に発情を経験させる回数により、0回で0.05%、1回で1%、2回で24%まで抑えられることがわかっています。それ以上発情を経験してしまうと、予防効果は期待できないと報告されていますので、避妊手術を考える場合には、なるべく早期の手術が推奨されています。

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