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動物別症例集 : 犬 3ページ目

犬の会陰ヘルニア

会陰ヘルニアは、5歳以上の雄犬に多く見られます。原因は不明な点も多いですが、男性ホルモンが影響していると考えられます。多くの場合は、ヘルニア嚢内に腸が出て、便秘や排便困難が見られるようになります。

治療は外科手術で、脱出した臓器を元の状態に戻し、筋肉の隙間を他の筋肉で塞ぎます。通所は同時に去勢手術を行います。
去勢手術を行うことで発生率は低下することがわかっているので、予防できる病気です。

短頭種の鼻腔狭窄

短頭種(ブルドッグ、ボストン・テリア、パグ、シー・ズー、チン、ボクサー、キャバリア等)に多い先天性異常です。鼻を鳴らして呼吸していたり、興奮時には酸欠になりチアノーゼになったりもします。

症状がある場合は、鼻腔を拡張させる外科手術を行います。

犬の膀胱結石

膀胱結石ができると、1回の尿量が減ったり、ほとんど出なくなることもあります。また、何度も排尿姿勢をとる様子があるのに尿が出ていないといった症状も見られます。尿が出ていない状態を、放置してしまうと急性腎不全となり、尿毒症を起こすこともあります。

膀胱結石の治療は、内科療法と外科手術があります。細菌感染を引き起こしている場合は、抗生剤や消炎剤を投与します。溶けにくい結石や、大きな結石の場合には、手術によって摘出します。

予防としては、結石ができやすい体質の場合は処方食が有効です。

犬の炎症性ポリープ

直腸・結腸の腫瘤性疾患で、しぶり、血便、便が細くなる等の症状が出ます。ミニチュア・ダックスフンドに好発します。

内視鏡下生検にて病理組織学的診断を行い、評価します。治療はピロキシカムの服用で内科的に治癒する場合もありますが、外科的に直腸粘膜プルスルー(引き抜き術)を行うこともあります。

犬の肛門嚢炎(肛門嚢自潰)

老化などで括約筋の収縮力が低下してくると、肛門嚢の内部に分泌物がたまりやすくなります。分泌物がたまってくると開口部が詰まるため、細菌感染を起こし、肛門嚢炎が起こります。

肛門嚢炎が起きると、お尻を床にこすりつける、お尻を舐める、などの行動が見られ、排便が困難になる場合もあります。悪化した場合には、肛門嚢が破れて膿や血が排出されます。

肛門嚢を絞って分泌物を排出させた後、洗浄し、抗生剤の全身投与によって治療します。良くならない場合では手術で肛門嚢を摘出することもあります。

月に1回は肛門嚢絞りをすることをお勧めします。

犬の脂漏症

脂漏症とは、全身の皮脂腺における皮脂異常を言います。状態によって、乾性と湿性に分類されます。寄生虫、マラセチア、アレルギー、性ホルモン分泌異常などの原因で起こります。

細菌性の皮膚炎を起こしやすくなり、外耳炎・皮膚のただれ・赤み・痒み・かさぶた・フケなどの症状を起こします。細菌感染を起こしたものを膿皮症といいます。

治療は、その原因に応じた治療を行い、同時に皮膚の症状にあったシャンプーや保湿剤を使用していきます。

水頭症

脳脊髄液が過剰に貯留し、脳室が拡張した状態のことを水頭症といいます。眠っている時間が多い、歩き方がおかしいなどの症状やけいれん発作、視覚喪失などがみられることもあります。無症状のこともあります。

先天的な原因と後天的な原因があり、それぞれ閉塞性と代謝性があります。先天的は、ミニチュア・ダックスフンド、チワワ、ポメラニアン、ヨークシャー・テリア、パグなどの小型犬種に多く見られます。

治療は内科治療と外科治療があります。内科治療では、脳脊髄液の量を減らし脳圧を下げる薬を内服します。外科治療では、脳の脳脊髄液を腹腔内に流すための手術(VPシャント術)を行います。

犬の高脂血症

高脂血症とは、血液中のコレステロールとトリグリセリドが高い値を示している状態で、原因は、遺伝性、糖尿病、肝疾患、ネフローゼ症候群、甲状腺機能低下症、副腎皮質機能亢進症、肥満などです。

症状は無症状の場合もありますが、食欲不振、腹痛、嘔吐、下痢がみられ、重症化すると、急性膵炎、角膜への脂質沈着、ブドウ膜炎などを併発します。

治療は食事療法が基本となり、抗高脂血症薬の投与を行う場合もあります。併発疾患があれば同時に治療を行います。肥満予防が大切です。

犬の頚部椎間板ヘルニア

椎間板ヘルニアの起こりやすい場所は胸腰椎と頚椎です。

初期では頚部の痛み、動くのを嫌がる、フラフラと歩行して起き上がれなくなる症状がみられ、重度では頚部脊髄障害で呼吸抑制が起こり急死することもあります。

治療は内科療法で改善しない場合は外科手術(ベントラルスロット法)になります。

犬のセルトリ細胞腫

精巣でエストロジェン(女性ホルモン)を生産する細胞の腫瘍です。主に中~高齢で発症しますが、若齢での発症もあります。特に潜在精巣(陰睾)の場合は腫瘍化する確率が高く、約10~20倍になると言われています。

症状はエストロジェンが分泌されることにより、左右対称脱毛や色素沈着、乳房の腫脹(雌化)、骨髄障害で貧血などの影響が出ることがあります。

治療法、予防法どちらとも去勢手術です。生後6~7ヶ月までに手術をすることが賢明です。特に潜在精巣の場合は早期にしましょう。

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